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ストーリー

数学の構造や考え方を書いた「参考書」は、今は店頭にはない。
売れないから出版社も作らなくなった。
売っているのは数学の「ノウ・ハウ本」だ。解き方を書いた問題集ばかり。
「ここにこの定理を使い、この公式に代入すれば、ハイこれが答え」
それって例えば、ウルトラマンと怪獣の戦闘シーンだ。
クライマックスではあるが、そこだけを見るなら、なぜそうなったかがわからない。

一世を風靡したウルトラマンだが、その前身は「ウルトラQ」という番組で、
超人は出てこず、怪獣と人間の「交流」を物語にしていた。
その後ウルトラマンが登場するが、まだまだストーリー性があり、善と悪に分かれるわけでもなく、
時にはその戦いに人間が葛藤する姿も描かれたりしていた。
「あの怪獣ジャミラは、元は人間の宇宙飛行士だ。母船からはぐれた飛行艇が宇宙を彷徨い、
 長く宇宙線を浴びてあんな姿になってしまった。彼は地球へ帰って来ただけだ。
 我々は彼を殺さなくてはならないのか?」
そんなストーリーがあるから最後にジャミラが涙を流しながら倒れる時、私も泣いた。
そんなウルトラマンも代を重ねるうちにストーリーは尽き、
最後は5分ほどの戦闘シーンだけを放映するようになり、飽きられ、終わってしまった。

数学の問題も「難しい」から良問ではなく、「ストーリーを持つ」問題こそが良問だ。
「実数論と因数定理で式を変形して・・・解と係数の関係で数値を整理する・・・
 見たことのある形になって来たぞ・・・グラフにしてみると・・積分で面積を求める。
 最後に最小値は・・・あ!相加相乗平均が使える!」
習い覚えた理論や式を道具にし「考察」することにこそ、面白さも感動もある。
そこには明らかにストーリーがあるのだ。
ところがそう言う問題はどんどん問題集から外される。
ストーリーが長すぎて「ノウ・ハウ本」には書ききれないし、
生徒の方にもストーリーを読み取る能力がなくなってしまった。
そう言う問題を載せた問題集はなくなり、「5分間の戦闘」だけを載せた「ノウ・ハウ本」ばかりになった。

困ったことは「5分間の戦闘シーンこそが数学」と思い込んでいる教師や生徒ばかりになり、
誰も「その物語」を語らなくなったことだ。その存在すら知らないのかもしれない。
今やどの高校も、数学のスピードが速いこと・・・とてもストーリーなど語っている暇はない。
けれどそれはウルトラマンシリーズの「末期」と同じだ。やがて崩壊する。
夏休みで少し先行した高2の数学も、京教や莵道には追い越されてしまった。
けれど・・・微分・積分なんて、ストーリーの「宝庫」なんですよ。
たとえ学校に引き離されても、そのストーリーは語らねばならない。

数学の問題に物語があるなんて、わかりにくいかもしれない。
けれど、うちに来ている高校生の息子や娘がいれば、聞いてみるがいい。
「河原先生と他の先生の違いって、数学の物語を語るか、語らないかの違い?」
気がつかない生徒もいるかもしれないが、たいていの生徒は「その通り!」と手を打つだろう。

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