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骨身に堪える風景

「俺は最近、こういう美しい風景を見ると、骨身に堪えるんだ」
「それは、歳を取ったということだよ」
朝日新聞に載っていた、とある文豪二人の会話だ。
コーナンに車を止めて、女房と真子と一緒に山科川河川敷を歩く。
何本もの桜がちらほらと散り始め、青空のもと、陽の光に揺れている。
もう・・きれいだとか、感動するとかのレベルではない。確かに「骨身に堪えて」いる。
確かに桜は、日本人にとって特別な花だ。
他の花を見て感動することはあっても、骨身に堪えるというほどのことは、なかなかない。
そんな感覚が私には20年ほど前からわかるようになった。その頃から「歳だ」ということか。
美しさで言えばやはり「ソメイヨシノ」だ。薄いピンクで花数が断然多い。
枝全体にびっしりと咲き、モコモコした感じにも見える。
雀が枝から枝へ飛びまわるが、花の蜜狙いか、虫狙いか?
所々に「山桜」も植わっている。白い桜で、葉っぱが早く出る。
ソメイヨシノにはかなわないが、それはそれでアクセントになって美しい。
八重のしだれ桜もある。ピンクが色濃く、これもまた息をのむ。
ばあちゃんと孫娘が「そこまで行こう」と歩いている。
何人かで歩く人、老夫婦、一人で歩く人。皆が目を細めて桜に見入っている。
そういう風景自体が私の骨身に堪えてくる。世の中は、なんて美しいのだろう。
桜の続く限り歩き続けると、そこには伏見食堂がある。3人で昼ごはん。
卵焼き、サバの塩焼き、里芋とタケノコの鶏の煮物、そして豆ごはん。ごちそうだ。
おいしい春を食べ、再び桜の中を歩いて帰る。骨身に堪え過ぎて、少し疲れた。
骨身に堪えるのは桜だけではない。子供の成長の中にも見ることが出来る。
中1は正負の数・演算のまとめ。中2は文字式・累乗のまとめ。
どちらも「数学の文法」の宝庫だ。
文法だから一番に重要なのに、今では忘れ去られたそれを、少しずつ生徒に流し込む。
中学生だから「理解」は難しい。「形だけでも」で仕方がないところはある。
しかしそれを、少しずつでも理解させ、その中で「作法」を教えてゆく。
ノリユキ、見てもらうのだから、字を見やすく、もう少し大きく書け。
イクト、そんなに「ダルイ」のなら、今すぐ帰れ。その態度は教師に失礼だ。
そうやって「学びの姿勢」を教え込んでいく。
3週間前、中2には「累乗則」がまったく理解できなかった。繰り返し説明し、大量に練習させる。
タクミは公文で練習して来たことがどれほど「型だけ」だったのかを理解した。
コウスケは「向き合い方の甘さ」を思い知った。
ソウタ・ヒナ・ユキタカ・スミレは、はっきりと数学の文法を認識した。
そしてカズマが・・文法を全く出来なかったこの子が、はっきりとそれを意識し始めた。
とてつもなく長く、複雑な式は「文法と作法」を手がかりにしかまとまらない。
そういうことが全く出来なかったのに、一つ一つ確認し、まとめていく。
その姿は、骨身に堪えた。時々はそういうものが見られるから、教育は続けられる。

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