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チリ鉱山の奇跡

今日のお昼前に33人目の現場監督さんが上がって来て、めでたく全員救出されたようだ。
しかしすごいねえ。
発見から1ヶ月ちょっとで、700メートルも穴を掘って、人を連れ出すなんて。
700メートルの縦穴って、あんた、そう簡単には掘れませんよ。
今は機械がよくなってるんだなあ。ひと昔前だと考えられないスピードですよ。

カプセルを引っ張り上げて、中から人が出てきて家族と抱き合う姿は感動的だけど、
本当の奇跡はそれじゃあない。
奇跡は生存発見前に起こっている。それを起こしたのは、最後に出てきた現場監督だ。
チリのその鉱山は「安全性が悪い」ことが評判となり、人が集まらなくなっていたと言う。
銅が世界中で売れる中、会社はどうしても掘らせたくて賃金を上げるのだが、
それは「命をかけた値段」になる。
そこに集まって来る男達って・・・一癖も二癖もありますよ。
私が大学を出てすぐ、現場監督をしていた頃、会社には「常用さん」という作業員たちがいた。
ほとんどが東北などからやって来た「出稼ぎ」の人達だ。
特に冬場は地元に仕事がなく、女房・子供を置いて働きに来るのだが、
毎月家族に送金する人って、半分いたかどうか・・・・
飯場でメシ付きだから、その気になれば毎月15万円ほども仕送り出来るだろうが、
たいていは毎日の「飲み代」に消えてゆく。ギャンブル代にも。
おとなしい真面目な人もいたが、たいていは話題も限られ、すぐに喧嘩をする荒くれ男たちだ。
チリのその鉱山に集まったのも、ほとんど変わらない男達だったろう。
落盤事故が起こり、地下700メートルの避難所に閉じ込められた33人。
その恐怖と動揺はどれほどだっただろう?
たいていは泣きわめくか、呪いの言葉を吐くくらいしか出来ないね。
現場監督だけが冷静に判断し、行動した。
電池くらいはあっただろうが、暗い中で非常食と水を集めた。ツナの缶詰があったようだ。
「これだけの缶詰と水・・・33人・・・・みんな、大丈夫だ。
 きっと誰かが助けに来てくれる。しかしこの深さだ・・・20日はかかるだろう。
 これだけしかないが、20日は我慢して生き延びよう。きっと助かるさ」
計算された食事の量は、一人ツナの缶詰を「大さじ2杯分」だったようだ。
評判の悪い鉱山で、本当に監督は希望を持っていたのだろうか?
そんなものなかったと思う。自身も不安だらけだっただろう。
それでも「立場」がそうさせたのか、それから17日間も男達をおとなしくさせていたのだ。
音もせず、真っ暗な中での17日間。「さじ2杯」の食事も、あと3日となった。
その時!細いドリルの先が部屋の壁を貫通してきたのだ。
現場監督は即座にドリルに手紙をくっつけた。
ドリルを引き上げた作業員がその紙きれを見つける。読んでみた。叫んだ。
「人が・・・生きてるぞ!!」

17日間と、その瞬間こそが奇跡であったと、私は思う。
その後は連日報道され、生還した瞬間もすべてカメラに撮られている。
嬉しくて、感動的ではあるが、それはもう、奇跡ではない。

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