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道半ば

中3の最後の模試データが返って来た。本番と同じ「範囲の指定なし」の模試だった。
16人中14人が受けたが、全員が志望校をクリアするデータとなっている。
16人の個性は様々だった。
くそ真面目な子、さぼる子、手ののろい子、学力がふらつく子・・・それでも全員が育った。
いち早くミノルが奈良工業高等専門学校に合格した。難易度は莵道のチョイ上くらい。
3年前はそんなところへは、とても合格するような能力ではなかった。
手は速いのだが、誤解・錯覚・思い込みが激しく、計算ミスもやたらと多い。
「先生!出来ました!(にっこり)」「まちがっとるわ」「え?(ギョッ)」
「先生!直しました(にっこり)」「全然違うわ」「え?(愕然)」
まだほんの小さなガキだった。おかげで他の子の3倍も同じ問題を解き続けた。
「そういうミスはすぐに修正」と塾は言うけれど、どうやるのだろう?
数字のさわり方・理論の捉え方が斜めになっているが、この子はそれが正しいと思い込んでいた。
それを修正するのに、私は2年半もかかってしまった。「すぐに」は直せなかった。
理論を組み立て、構造を考察するには精神的な成長が必要だ。
この子もまた、ガキから青年になる必要があった。それは心理的な痛みも伴う。
ガキは親に保護され、好きなことが出来る。誰でもそのままでいたいし、
親も無意識の中でペットのように、子供がガキのままを望む人もいる。
「ガキのままでいるな!お前達は大人にならなくてはならない」
今どき塾で、そんなことを言うのは私だけなのだろう。
「勉強“だけ”教えてくれればいいんだ。そんなプライベートに口を出すな!」
そういう世の中でしょ?現にそう言って辞めていく生徒もいる。
けれどそうかな?大人の感性を身につければ、そんな問題、苦もなく解けますよ。
私はこれでも最短距離で「育てよう」としているんだけどねえ・・・
ミノルは3年生になる頃から、はっきりと顔つきが変わってきた。ガキの顔は消えてきた。
まだ理論的な「あやしさ」は残っているが、数字のさわり方・捉え方は正確になった。
ミスはまだあるけれど、極端に減った。
『まだ・・・ちょっと無理かなあ?』そう思っていたが、合格した。
これが、うちの中学生達の平均的な成長の姿だ。しかしそれはまだ、大人の入り口に立ったに過ぎない。
奈良高専・・・遠いし、たぶん数学のカリキュラムも違う。この子も離れていくのかもしれない。
サッカーも含めて、このクラスはそういう子が多い。いったいどうなるのか、私にもわからない。
高1への「更新登録用紙」を皆に渡した。この子達は無条件で高1に登録できる。
まだ他の子は入試すら始まっていない。ミノルが決まりそうだったから、皆に渡した。
まだ大人へは道半ばだ。本当には・・・もう少し育てておきたい。
けれど、道が離れていけば、それもかなわない。
「期限はないが、来るのか、来ないのか、出来るだけ早く言ってくれ」
試験もまだなのに、シンヤだけが即日提出した。
全員が提出すれば、3年前と同じく、新たには誰も取れない。

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