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長野に吹く風②

鈴木さんの家へ行くと、美人の奥さんと可愛い小4の娘さんがいた。
「京都の生やつはしをお土産に買ってきたよ」と言うと、飛び上がって喜んでいる。
大好物なのだと言う。よかったあ~!大当たりだね。
鈴木さんの学生時代からの友人も来ていて、「バーベキューの焼き係」らしい。
彼とは1年前にも会っている。
確か学生時代のアパートの家賃が彼は9千円で鈴木さんが1万円。
「だから鈴木の奴“お前んとこはマンションだが、俺んとこはペンションだ”と自慢していた」ようだ。
野菜サラダやシシトウを焼いたものの前菜で飲み始めているとウネ夫婦と吉良さんも到着。
さあ、バーベキューだ!と火をおこし始めると突然雷が鳴り始め、久しぶりの夕立だ。
庭でのバーベキューはあえなく中止。それでも料理は食べきれないほど出てきた。
吉良さんは「音楽係」だから、ケーナをどんどん吹いてもらう。
ウネの奥さんはビールより日本酒?いいのがあるぜ、鈴木さんの酒「アイガモ」
もちろん米は自分の田んぼの酒米を使い、麹も自分で作ったと言う。
「ある酒蔵から“杜氏として来てくれ”と誘われてる」藤井さんがばらした。
なんて器用な人だろうと思ったら、鈴木さんの学生時代の研究テーマが「キノコ」で、
菌類や酵素などが専門だったようだ。友人がばらす。
「僕は酒が強くて酔っ払わないことを普段から自慢してたら鈴木の奴、
 “アルコールの吸収率を高め、必ず悪酔いをするキノコ”を僕に黙って鍋に入れ、
 みごとに僕はひどく悪酔いさせられた」
そ、そりゃあ・・・完全な“プロ”じゃあないか・・・
ウネは自分の建築観や美術観を語ってくれる。奴がいると場が退屈することがない。
そう言う“観”を持つが故の“現実との葛藤”に苦しむ歳になってしまった。
そう言うことなら藤井さんや吉良さんの“人生観”、鈴木さんの“百姓観”が参考になる。
確かに人生には「金も稼がなくてはならない時期」がある。
しかし・・・自分の方向性だけは、何とかして見失わないようにしたい。
もちろん人は、その都度揺れ、迷いながら生きて行くが、
藤井さん・吉良さん・鈴木さん・その友人・・・この人たちは“その足元”だけは大地に根ざしているように私には見える。
金儲けがうまい奴は誰もいない。しかしきちんと“生き延びて”いる。
時々はわからなくなることもあるだろうけど、その方向性はいつも取り戻しているように感じる。
それが、私が彼らをとても好きになる理由だし、きっとウネにも良い影響を与えてくれると思った。

吉良さんが酔いつぶれる頃、藤井さんが一つのパンフレットを取りだした。
来月「ひとミュージアム」で行われる、ある画家の個展を紹介したものだ。
「家族で日本中を放浪し、10年前から絵を描き始める。師はいない」
いくつか載せられている絵には、不思議な“力”を感じる。
それを見たウネの目もぴたりと止まってしまった。
ものすごく会ってみたい。けれど明日は女房と軽井沢の建物を見に行く予定がある・・・
「また会いに来ればいい。今回が“始まり”なんだから」
藤井さんと私とウネは元気だが、鈴木さんは座ったまま寝始めている。
さあ、寝ようぜ。時計は夜中の1時を回っていた。

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