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なんで莵道に来たん?

「へえ~~~・・・A判定なんて・・あるんや?」康太が持ってきたデータに目を疑った。
康太はいつも「得点率9割」を目標にしているので、
「国語と地理を失敗してるから、全体で8割。あんまりようなかったで」
と言っていた。事実国語は5割で、校内順位も24位。
ところが・・・あとの教科はすべて1位・・・と言うか、全国でもトップクラスだった。
失敗したはずの地理は偏差値では一番よかった。難しかったんだろう。
そして判定は・・・・京大医学部が、900点中あと4点でBというC判定。
あとは・・・物理工学・地球工学・薬学・滋賀医科大・阪大・神戸大・・すべてA判定・・・
私はいまだかつて京大のあらゆる学部でA判定を見たことがない。
「出ないものだ」と思っていた。
この25年で、そりゃあ賢い生徒はいたし、東大へも京大へも医学部へも何人も行きましたよ。
それでもA判定は見たことがなかった。
せいぜいC判定ばかりで、稀にBを見たら「すっげえ~~!」だったもの。
順位を見たら、この判定もうなづけるかな?
それぞれの総志望者の中で医学部だけ9位で、あとはすべて1位。
ありえねえ~~!なんなんだ、これは・・・・・

高校の先生達も当然そのデータは知っているようで、何かの用事で康太が職員室へ行くと、
何人もの先生に声をかけられた。
「シュタイナー教室、知ってるで。康太君のお父さんって・・50代?
 そやろ?私、木幡中の同級生やねん!」
化学の女性教師だが、それは私の弟だね。私は東宇治中学で、木幡中はまだなかったもの。
「お~い康太。お前ってさ、やっぱり洛南とか、堀川・嵯峨野を受験してたん?」
「いえ、僕は私立も受けず、莵道だけ受けました」
「うそ!なんで莵道に来たん?」
あのね!康太は特色選抜では莵道を「落されて」いるんですよ。
高1で初めて受けた二つの模試の、校内順位は60位でしたよ。
まぎれもなく莵道高校で学び、伸びてきたんですよ。まるで
「こういう生徒が莵道に来るはずも、いるはずもない」みたいな言われ方だ。
けれど・・・それが職員室の「現実」だということは、以前から聞いている。
中3の進路指導ではどの中学でも、
「お前は将来どの大学へ行きたい?京大?なら、堀川か嵯峨野だな。
 莵道?アホ!行く大学なくなるわ!」
どの教師も本音ではそう思っているはずだが、それも仕方ないかな。
府の方針で「スーパーⅡ類」をたくさん作り、2極化と言うより「差別化」がどんどん進んでいる。
それは高校を「大学へ行くための装置」にしているわけだ。
事実ヒロコやユウキが持ってくる嵯峨野のデータを見ると、
「なんで毎年100人が京大へ行かないんだ?」と思えるほど賢い生徒が集まっている。
そりゃあ勉強する環境としてはいいのだけれど、それも生徒によるね。
ヒロコにはいい励みになってるけど、ユウキなんか叩かれてばかりで浮上できないものね。
それに、私や康太みたいに、高校を「装置」とは見ない人間は、どうすればいい?
「大学へ行くためだけ」には高校へ行こうと思っていない私達は、どうすればいい?
有名進学校や京大へ行くことが「最終目標ではない」私達は・・・・
どの高校へ行こうとも、勉強はするさ。勉強は出来るさ。私はずっと、そう考えている。
莵道で勉強しないやつが、堀川や嵯峨野だと勉強できるの?違うね!同じことになる。
大学へ行くために勉強するのか?それも違うね。面白いから勉強するんだ。
うちの教室は昔からそうだ。だから「進学目的」の生徒はことごとく辞めていった。
そりゃあ辞めるわね。
「これで点を取れる」「この高校・大学を目指そう」なんて1度も言わないのだもの。
「なあ、この数学って、面白いと思わないか?きれいだと思わないか?」
それしか言わないもの。
「手っ取り早く点を、高校を、大学を」と言うバカは、さっさと辞めていったね。
この教室の先輩達と同様、康太の「良さ」は「教科を面白がる」ところにある。
大学を目指した勉強ではない。だから強い。
「どの大学へ」など考えたこともなかった。気がついたら「こうなって」いただけだ。
「どこでも、勉強は出来ますよ」
康太はそれを、証明しつつあるのだろう。

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