FC2ブログ

“王道”は、ない

「やれやれ、難しゅうてかなわん・・・のう、ユークリッドや、
 もう少し“数学が簡単に分かる方法”を教えてくれぬか?」
数学指南役のユークリッドは静かに言った。
「王様・・・数学に“王道”はないのです。我慢強く、しっかりと勉強してください」

高3の夏。模試の問題はその難易度を一気に上げる。
「マーク模試」は本番のセンターテストよりも難しくなり、点数は取りにくくなる。
「もっと勉強せねば・・・」と思ってくれればいいと私は思っているが、
ま、大抵の生徒はへこんでしまう。
フリースペースでユウスケが自己採点している。
「全体で5割行ってませんね。ま、そんなに勉強できてないから、こんなもんですけど」
青ざめたのはケンタだ。予備校へ通っている友人たちが、
「模試対策にはこの問題集がいいと聞いた。予備校の授業でもこれをやってるぜ」
夏休みに入る頃にそれを聞いたケンタは“王道”を歩き始めた。
「実践問題集」か、何かなのだろう。
結果は・・・以前は解けていた問題も解けず、惨敗・・・
この時期それが「普通」だと私は知っているが、生徒は初めて「実感」する。
ケンタは試験を終えた手ごたえから、腹は減っても「飯が食えなかった」そうだ。
「点取りだけを行っても・・・ダメですね・・・」
いい勉強になったようだ。
ミクはにっこりとやって来て、「世界史を地理に変えてもいいですか」と言う。
「家で地理の問題をやったら、勉強してないのに世界史と同じ点数だったんです」
「で?世界史は何点だったんだ?」
「26点・・・」
ミクもまた“王道”を求めているようだ。
この時期の模試が難しいと言っても、平均点が50点ほどに設定されている。
そして社会は・・・勉強しなくても「常識」だけで、どれを受けても30点ほどは取れる。
「ミク女王様・・・社会科に王道はございません。しっかりと勉強を・・・」
国語と地理だけにこだわっていた康太もへこんでいた。
地理は85点を目標にしていたようだが、そもそも目標が高すぎる。
「で?何点だった?」「74点。全然あかんわ・・・」
それを聞いたユウスケが驚きの声を上げた。
「それって・・・たぶん、ものすごい得点やぞ・・・」
私もそう思う。偏差値からした本番「予想得点」では90点を超えるだろう。
康太は“王道”の存在すら意識もしていない。
やれやれ、受験生の・・・それぞれの夏である。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

河原

Author:河原
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR