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進学塾での学生の頑張り

先週の土曜日、卓球仲間の大学生が珍しく1時間も遅れて練習に来た。
「バイト先の企画会議が6時間もかかって・・・時給は付きませんけどね・・・」
彼は今年中堅私立大学に合格し、進学塾のアルバイト講師をしているのだ。
背の高い二枚目で、誠実と真面目を絵にかいたような好青年だが、勉強は苦手だったようだ。
彼の行く「終点は自由だ」という塾も、今時どこもがそうだが、
「都合のいい時に来て、わからない問題を聞いてください」というもので、
最大二人までの生徒の質問に答える形式だ。
その形式だと講師の「頭数」がいり、どこもが人手不足だと聞く。
資金繰りも大変で、彼のような「新人」は一定期間「見習い」で、時給800円弱。
コンビニの「レジ係」と同等で、「そんなに安いのか?!」と驚いてしまう。
どれほどで「正規採用」になるのかは知らないが、正規になっても時給は1300円ほどだという。
いつ頃から「コンビニと同等」になったのかも知らないが、真面目な彼は誠心誠意働いている。

企画会議は「受け持ちの生徒に夏期講習をどれくらい受けさせるのか」というものだった。
「え?簡単じゃないのか?“た~くさん取らないと、志望校には合格しませんねえ”
 って言えば、親や生徒は全部取らざるをえない。すぐに40万円。
 昔からそうしてると聞くぜ」
「い、いや、今はそう言うと脅しになるので言いません。
 “これとこれとこれを取ってはどうでしょうか?”って言うんですよ」
「・・・・結局脅しで、同じじゃん・・・」
脅しに聞こえないよう、いかに気持ちよくたくさん取らせるかの作戦会議だったのだろう。
しかしそれは講師としての「仕事」ではなく、時給は付かないのだ。ようやるねえ・・・・。
さらに、彼のような学生には厳しい指導が行く。
生徒の質問に答えた後には細かな「所見」を用紙に記入しなくてはならない。
どのような質問で、どのように答え、生徒は理解したのかしないのか、時間数は増やすのかどうか・・・
生徒に問題がなければ「問題なし」の欄にチェックを入れるが、
それで学校のテストや模試で点数が悪いと、上からひどく怒られるらしい。厳しいねえ・・・
「だから僕も必死に聞くんですよ。
 “他にわからへんとこないか?ここは大丈夫か?”って。
 けれど・・・出来ない生徒ほど“もう大丈夫!わからへんとこない!”って言うんですよねえ・・」
・・・そりゃそうだわね。「何がわからないのか」なんて、わかっているはずがないもの。
「基本問題を解いてやるだけで賢くなるわけないじゃん。そもそもそれだけでわかる子なら
 そこには来ないだろうしね」
「僕もそう思うんですが・・・仕事を精一杯頑張るだけです・・・・」

いじらしいほど誠心誠意な彼ではある。
しかしそのような「つまみ食い質問」で、その子の何が、どう良くなるというのだろう。
私には「安物の酒に“特選”“上選”」などというラベルを張ってごまかしているようにしか見えない。
いや、それは現場でやらされている彼が一番わかっているのだろう。
「これでは何も良くならない。けれど、どうしていいかもわからない」
だから上から言われる「マニュアル」通りに、懸命にやらざるを得ない。
『何をやってるんだろうねえ・・・ったく・・・・』
やるせなさをぶつけているのか、その日の彼の卓球は、やけに強かった。

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