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本にはできないこと

本と私
素晴らしい野菜料理でうまい酒を飲みながら、鈴木さんとは多くを話した。
娘さんが高校では進学校へ進んだものの、数学に困っていたということを聞いて、
私が近所にいたら面倒を見れたのにという話もした。
「まあ、それでどうなったかはわからないけどね。僕の数学は医者の治療に似てるんだ。
 その子を数学で診断してみて、どこがどう悪いのかを探る。
 点数を目指すのではなくて、根本治療にはどうするかを考えるんだ。
 針を打とうか、指圧がいいのか、薬ならどんな薬がいいのか・・・
 失敗することが多いけれど、いろいろためすうちにたいていはよくなる。
 けれど時間は年単位でかかるねえ。
 それでもさほど良くならない子もいる・・・」
「それは河原さん、僕ら農家がやっていることと同じだよ。
 一つのリンゴの木でも、いいりんごも悪いりんごもある。
 何でこいつは大きくならないんだろう?どうにかならないのかなと
 肥料を変えたり、水のやり方を変えたり、色々やる。
 やっぱりたいていはそれほど良くならないよ」
「うん、一人一人症状が違うし、治療方法も違う。
 たくさんありすぎて、しかも勘で治療することも多くて、
 そういうものはとても本にはできないねえ・・・」
確かに畑へ行くと、収穫前なのにかなりのリンゴが落ちている。
「虫や鳥に食われたり、病気のこともあるけれど、日に当たりすぎて焼けて、
 商品にならないから間引くものもあるんだ」
よく観察し様々なことをやるけれど、その一つ一つは大したことでもなく、
確たる自信もなくやっていることが多いから、とても本などには書けない。
「農家も教師も、やっていることは同じだねえ・・・」
そういう話で飲む酒は、さらにおいしかった。

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