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新たな視点に挑む

康太は松山から電車を乗り継いで帰ってきたようだ。
南海、阪急、京阪・・・いくつもの乗り換えは面倒だが、
時間的には飛行機やバスと変わらず、費用はかなり安いらしい。
松山の海で遊んだこともあって、かなり日焼けしていた。
「研究生活は充実してるか?」 すぐに聞く。
「かなりいい感じになってきたなあ」
康太の研究を人の行動に例えると、人は個々にバラバラに動くわけだが、
まずは一人を数学的にとらえ、数学的法則を導き出す。
次に隣の人を数学的にとらえると、さっきの人とはまるで別だが、
それなりの数学的法則がある。
まるで無関係に見える法則だが、何万・何百万と重ねていくと、
それなりに一つの法則、一つの数学体系になってくる。
そうやって人を見つめていくと、新たな視点が出来上がってくる・・・
対象が人間ならそれを「哲学」というのだろうが、
そういう手順を踏んで哲学を創り上げた人はほとんどいないだろう。
康太はそういうことを炭素複合材料でやっているのだ。
研究室には様々なジャンルのスペシャリストがいて、
そういう人たちのアドバイスも聞けて大助かりするわけだが、
化学や薬学の人は物理学系ほど数学には強くない。
そして物理系の中でも康太の数学力は突出しているので、
今まで康太ほど数学でゴリゴリと理論を推し進める人はいなかったようだ。
康太は大学院時代からそれを考えていたが、東レの環境は素晴らしく、
一気にその研究が形になりつつあるらしい。
基礎研究だからそれですぐに何かになるわけではないが、
なにかの発明や発見のベースには、必ずそういう基礎研究がある。
だから基礎研究する人たちには、そういう新たな視点・研究はとてもうれしい。
康太はいくつか新たな視点・理論を会社に提言しているが、
「そ、それ、すごい、面白い。もっと研究を進めてくれ」
そりゃあ喜ぶわねえ。やっている康太だって面白くてたまらないし・・・
まったく帰ってくるたびに、毎度「いいなあ、うらやましいなあ」と思ってしまう。
真子も試験が終わり、研究室はあるが、毎日家に帰ってくる。
もう、話題は尽きない。幸せな1週間になるだろう。

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