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語ったこと

新中1のミナトとキョウヘイがやってきた。
ミナトはまだチビで子供っぽいし、でかいキョウヘイはがちがちに緊張している。
「なあ、お前たちはなぜ勉強するのかな?」
私の集大成だ、ここは語っておきたい。もちろん二人に答えはない。
「世界中の大人たちは自分たちが暮らす大きな建物を創ろうとしている。
 弱い人間がそこで寄り添って生きるためだ。
 その建物に完成図はなく、どう創っていいのかもわからない。
 いくつか柱は建ったが、まだ建物の形もできていない。
 お前たちも早く大人になって手伝ってくれないと、手が足りないんだ。
 お前たちは小学校で道具の名前を覚えた。
 あれ持ってこい!って言われて何かわからないと困るだろ?
 中学でも同じだけど、少し種類が増えて、もう少し道具の観察をする。
 高校からは余った材料で切ったり削ったりの練習だ。
 そして大学や社会で現場に出て、一緒にその建物に向かうんだ。
 そこでは今ミナトがやっている少林寺拳法の力や知識もいるだろう。
 けれど、それだけじゃあだめだ。言葉や歴史、理科の力も必要だ。
 それらの整理の仕方に数学はとても力になるし、大いに助けてくれる。
 今の日本人は“好きなことだけやればいい。数学なんていらない”と言うけれど、
 それだと目の前で創ろうとする建物の姿を見ることすらできなくなるんだ。
 それでは困る。できるだけたくさんの力を身に付けて、手伝ってくれないとな。
 お前たちがどの知識をどのように身に付ければいいかは、俺が手伝ってやる。
 そういう力を身に付けるために、さあ、数学を始めよう」

二人はうなづきながら真剣に話を聞いていた。
黒板でミナトは勘違いもしたけれどすぐに修正できた。
物静かなキョウヘイだが、私が言うまでもなく吟味し、自分で修正できる。これは相当に賢い。
こうやって二人を連れた数学への旅は始まった。

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