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鞍馬は雪だった

17日朝10時、卒業生の男子10人全員が京阪木幡駅に集合した。
後期試験の発表だけを待つこの時期、すべての受験を終え、私の心に流れるのは「後悔と懺悔」だ。
『もっとうまく指導すべきだった。すまん、申し訳なかった』
せめてもの罪滅ぼしにと、毎年卒業生を鞍馬の露天風呂へ招待している。
電車賃以外は私のポケットマネーだ。
駅ではすでにトモヒサが待っていた。すぐにイツロウとタイチが到着する。
ヒロユキ・コウヘイ・シュンペイ・シュウジ・シュウヘイ・タカシ・ケンタもやって来た。
皆が大学受験を冷やかしあい、じゃれ合っている。
「力いっぱい学んだ。結果はどうあれ思い残しはないし、どうでも仕方ない」
その爽やかさと明るさが、私の心を軽くしてくれる。
出町柳から嵐電に乗り換える。
きれいに晴れ上がっていたが、途中から雪になった。屋根にはすでに雪が積もっている。
鞍馬につくと雪は小降りになり、大きな天狗の面に迎えられる。
私はもう20年以上も生徒と来ている。
「さあ、お山に登るぞ」
急な坂道を本堂を目指して登る。生徒は遊びながら登って行く。
息が切れる。こんなにしんどかったっけ?20分ほどで本堂についた。
全員でお参りする。
『皆が懸命に学ぶことが出来ました。ありがとうございました。後輩も、よろしくお願いします」
そうやって20年以上もバトンを渡し続けている。
しばらく散策。ケンタやタカシは雪合戦に興じている。

山を下りて来ると、山門前のヨウシュウジと言う店で昼ごはん。精進料理だ。
麦飯にとろろ。野菜の白和え・味噌で味付けしたこんにゃく・からし菜のおひたし
おからのそぼろ、ごま豆腐・木の芽のつくだ煮、お吸い物・お新子・・・
麦にアレルギーのあるタイチは「山菜おこわ」に変えてもらった。
食べ始めると、皆がそのうまさに感動している。
「精進料理って言うから、もっと質素なもの・・・たくあんだけかと思った」
「日本の坊主をなめんじゃないぞ。こんなにうまいものを食ってんだ」
「うまいなあ・・・美味しいなあ・・・」
皆でそう言いながら食べる飯ほどうまいものはない。
全員が麦飯を、タイチも山菜ごはんをお代わりする。
トモヒサやシュウジは「余裕で5杯は食えるな」と言いながら3杯食べた。
ケンタは「ご飯を・・・とろろを・・・からし菜と白和えを・・・おつゆを・・・」
アハハ・・・全部お代わりして店のおばさんを忙しくしている。
おかずも無くなったのにシュウヘイが3杯目だか4杯目を注文する。
「どうやって食うんだ?」「とろろが残ってますよ」
血液が浄化されそうなごはん。何とも・・・何とも楽しいお昼ご飯だった。

歩いて10分ほどの露天風呂へ行く。さあ「受験の垢」を落とそう。
湯船につかると頭にぼたぼたと雪が落ちて来る。素晴らしい「雪見風呂」になった。
テキサスから来たと言うアメリカ人家族3組ほども入っている。
「英会話レッスンを受けてみろ」と言うが、皆尻込みしている。
首までつかったり、湯船に腰かけたり。
受験のこと、この3年間のこと、これからのこと・・・思いつく限りのことを語り合う。
1時間半ほどもそうしていただろうか、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
「空気は冷たいし、温泉は暖かいし・・・この雰囲気だと、いくらでも入れるなあ」
イツロウをはじめ、皆が言う。本当だ、なんて楽しいのだろう・・・
おかげで私の身も心も、すっかりと垢が落とせた。
さあ、未来へ向けて歩いていくがいい。お前達なら、もう大丈夫だ。しっかり歩いて行ける。
迷うことがあれば、いつでも相談に帰って来るがいい。私はいつまでも見守るから。
感動すら覚えてしまうほどの1日を終える。
出町へ向かう途中、雪は途切れ、どんどんと晴れ上がって行った。

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