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自活できている ③

大学へ入ったはいいが、やはりチハルは数学がよくわからなくなり、
相変わらず誰とも口をきけず、通うのが辛くなった。
不登校と通学を繰り返し、2年生の時に相談しに帰ってきた。
大学のテキストを私に見せて、うれしく誇らしげでもあり、辛そうでもあった。
「数学は趣味としてじっくりやり続ければいい。
 一人で考えるのはきついから、頑張って友達を作れ」
素直に聞くチハルだったがどちらもうまくいかない。
京都の漬物屋さんで裏方のアルバイトをしていて、おっちゃんやおばちゃんと
話すのは何ともなかったが、同世代とはまだ関われなかった。
頼みの綱であった漬物屋だが店じまいをし、おばちゃんと話すこともなくなった。
チハルの母は時々連絡をくれ、様子を教えてくれた。
心配していた単位は何とか取れて進級・卒業まではうまくいったが、
大学院へ行くと言い出した。 「いつまで数学をやるんだ・・・・」
テキストの内容を見てもそれほど高度だとは思えなかったし、
チハルに数学者になれるほどの能力があるとも思えなかった。
もっと周りや世の中も見られないといけないのだが、まだ数学にしがみつかないと生きられないようだ。
大学院は2度受けて、どちらもダメだったのまでは聞いた。
その後特に連絡はなく、音信不通であったが、私のブログは見ていたようだ。
「読書会に参加させてください」とメールが届いた。
メールにはその後の動向も長々と書かれていた。見事な文章で。
それが話もできないチハルの言葉だとは信じられないほどに。
25歳になっていた。
私の元を離れて7年、何を見、何を考え、どう生き抜いてきたのだろう。
気がかりも楽しみもいっぱいで、チハルがやってくるのを待った。

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