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自活できている ①

読書会に参加してくれている卒業生のチハルだが、今回初めて
自分につけられていた診断名を私は明かした。チハルは知らなかった。
「僕ってアスペルガー・・・?って言うんですか?それはどういう病気なんですか?」
「人と付き合いにくい、話せないって病気だ」 「なるほど・・・」
チハルは納得した。病名は知らなくてもずっと、今でもそれに悩まされているし、
自分が保育園の頃から特別扱いされているのを自覚していたのだ。
私はびっくりした。それは自覚できないものかと思っていたが、
チハルは特別扱いされるのを「変だなあ、いやだなあ」と思い続けていたのだ。
そういう病名をつけられると現実的に教育は放棄される。
本人が気分を害さないようにと、ご機嫌を取るので精いっぱいだ。
それを責めはしない。教師だってどうしていいかわからないのだから、そういうものだろう。
母親が勉強できない息子を見かねて、中1になるころ私の前に連れてきた。
「私はそれを病気とは思っていません。病気なら私には治せない。
 性格です。そういう子なんでしょ?性格なら多少は鍛えられるかもしれない。
 数学でどこまで治せるかわかりませんが、やってみましょう。
 ただ、こういう子をたくさん見てきた経験では、性格だから簡単には治りません。
 20年、30年スパンで考えてくださいね。
 確かにこのまま放っておいたら大人になれず、社会へ出られないから困ります。
 数学を通してどこをどうすればいいのか、見つめてみます。
 大切なのは、やがてこの子も社会へ出なくてはならないし、
 我々がいなくなってもこの子が自活できるようになることです」
高校や大学は、必要ならば行けばいいだろう。
チハルを「ずっと生きていかせる」ことが目標で、「有名学校へ」など考える余裕はなかった。
一つ一つ「数学の文法」を根気よく説明し、練習させていった。
さすがに中学の間は精神面が幼すぎて、「馬鹿もん!」と怒鳴ることはできなかった。
少しでも怒鳴れば「パリン」と壊れてしまいそうだったから。
数学を通してまずは「少々叩かれても壊れない心」作りに取り組んでいった。
なかなか進まないのは覚悟を決めていた。
しかしそのうちチハルは数学をさわるのを面白がるようになった。
今まで教師は何も教えてくれず、どの教科もさっぱりわからなかった。
それが・・・数学ができるようになったわけではないが、「わかる」と言う感覚を初めて知った。
まわりの生徒と初めて同じことができる。一緒に考えることができる。
しかも考えている間は人と話す必要もない。一人で考えることができる。
アスペルガーにとってはこの上ない状態になる。
チハルは次第に数学に没頭するようになり、「僕にも少しはわかる」
それだけを支えにとりあえず、命をつなげられるようになっていった。

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Re: 試行錯誤

> 読書会、行きたいですが、毎度毎度仕事に追われて休みなく働いてます。

11日の夕方くらい出てこられないのか?
六地蔵の「くし八」でウネや卒業生と打ち上げやるぞ。4時半からだ。
財布はウネのギャラよ。
いいもの食って体力つけるためにも、来られたら出てくればいい。

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Re: 行きたいですが…

え?今は奈良にいるのか?てっきり実家にいると思ってたぞ。
ま、身体壊さんようにがんばれ。気晴らししたかったら、いつでも言えよ。
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河原

Author:河原
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