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終わらぬ人 儚さ

宮崎さんは背筋を伸ばして歩くし、映像からはわからないのだが、
かなり身体にはがたが来ているらしい。心臓に病を持っていることなど知らなかった。
アトリエでマッサージを受けている映像も流された。
「あ~そこ!そこを押すと真っ黒な水が出てくるんじゃないか?」
私も週末は毎週のようにマッサージを受けるので、そういう感じはよくわかる。
以前に比べると料金は半値になっていて助かるし、自分に合うところも探す。
アニメも数学も鉛筆を握るが、その作業のせいか肩こりが辛いんだ。
身体が徐々に老朽化しているのがわかってしまう。
テレビカメラは宮崎引退後の2年を追っていたが、その間に知り合いが相次いで亡くなった。
アトリエに電話が入る。
「はい・・・え?亡くなった?・・・」
アニメを支えてきた友人だった。椅子に座りこんで頭を抱えた。
あるときは車から降りるなり、カメラに向かってぼそりと吐き捨てた。
「亡くなった。あっという間だ!あっという間に死んでしまったよ」
アトリエで長い間色彩担当として支えてくれた、二つ年上の女性だった。
「俺なんかよりも、当然長く生きるべき人たちが、どんどん亡くなっていくよ・・・」
私も若い頃は知り合いが亡くなると悲しくて号泣したものだが、
最近では同世代以上の知り合いが亡くなっても泣くことが無くなった。
悲しさに変わりはないのだが、どこかあきらめてしまうというか、
命の不思議さ、淡さ、儚さを感じてしまい、茫然としてしまう。
「次の仕事に5年かかったら、俺は80歳だよ」
宮崎さんはその年齢に茫然としているようだ。
高齢者運転講習会へ行ってきて、来ていた人たちを漫画にしていた。
そう言うのはすぐに自分で描ける。妖怪のような老人ばかり。
「俺もこれと同じなんだろうな。こんな爺になってしまったんだ」
宮崎さんの引退の最大理由はそれのようだ。
5年かかる仕事の間、自分が生きてやり遂げる保証はない。
「途中で死んでしまったら、どれほど多くの人に迷惑をかけてしまうか・・・・
 仕事に対して、30代40代の時のような“湧き上がるもの”もないしね」
手伝っているスタッフは次の日から仕事がなくなる。失業してしまう。
制作費に借りる大金も返せなくなるだろう・・・そういう不安に耐えられないようだ。
それは私の近未来だ。考えておかなくてはならない。
しかしCGで短編を作るうちに宮崎さんの何かにスイッチが入ったようだ。

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