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素晴らしい教授たち ②

「学校や塾で効率よく知識を蓄え合格してきました。 僕は優秀です、何でもやらせてください」
そんな学生が目の前に現れたら、大隅教授たちは唖然とするに違いない。
「すでにあるものを覚える能力」と「未知のものを探る能力」は、まったく別のものだからだ。
教師もそうだが、研究者も「100点を取る能力」など、ほとんどいらない。
「よくわからないこと」をずっと考え続け、頭の中にとどめておく能力のほうが重要だ。
そもそも基礎研究だけでなく、世のすべてのことは、そう簡単に素顔は現さない。
そういう場では高校までの基礎知識を「すぐに暗記」できた子よりも、
鈍くさくてすぐにはわからなくて、ずっと考え続けた子のほうが使えるし、伸びる。
しかし今の日本は考え続けることを否定する風潮になってしまった。
テストでは100点を取り成績を5にしなくてはならないし、2~3年後に進学校に合格せねばならない。
額に汗してこつこつ働くのはダサく、相手のミスに付け込んで
コンピュータの株操作で1分で1億円稼ぐのが「理想」だ。すぐに「結果」が必要なのだ。
知識の熟成の期間には個人差があるが、それは無視し、中学では3年分を2年で終える。
「考え続ける」ことは無駄で、どんどん詰め込むだけをやる。
それでなにも育たないことをどの教師も知っているが、親が望むから何も言えない。
それで100点を取って、学ぶことを勘違いしている生徒を、
「お金ください」と大隅教授の前に出すことは・・・恥ずかしくてとてもできない。
素晴らしい教授たちの話を聞いて、私が31年間、何をしていたのかがわかってきた。
私は「基礎研究ができるようにするための基礎」を生徒とともにやり続けてきたんだ。
わからないことから逃げない。時々さぼることはあっても、考え続けることから逃げない。
考え続けるとは、探求し続けるとはどういうことなのかを、数学を使って経験させる。
31年前には説明もできなかったが、ずっとやり続けているのはそれだ。
進学実績がものすごいのは「たまたま」だ。
「人に負けさせたくない」気持ちはあるが、進学を狙ってのことではない。
そのおかげで食えるようになったのは助かるが、5や進学狙いの子は、今でも取らない。
だからうちの卒業生の多くは、自信をもって教授たちの前に出すことができる。
「僕に何ができるのかは、わかりません。自信もありません。
 しかし僕には、それを考え続けることはできます。今・・・資金に困っています。
 僕にその資格があるのかわかりませんが、そのお金があれば続けられます。 
 少しだけ分けていただいても・・・よろしいでしょうか」
勉強などさほどできず、3流大学で「迷い続けた」ウネやコウヤだが、
そのお金を奴らに渡せば、間違いなくいい仕事をする。私は確信できる。
他にもそういう卒業生は多くいる。
素晴らしい教授たちが賞金を投げ打ってでも「考える芽」を残そうとされている。
自分が死んだ後でも、もう少しは続くようなお金のシステムを残そうとされている。
それにたる生徒を育てるのは、我々教師の義務ではないか。国の義務ではないか。
そういう素晴らしい教授たちがいなくなる前に、一人でもそれを受け継ぐ若者を育てておきたい。
金もうけとは縁のない仕事だ。けれど頑張れば、食うに困る仕事でもない。
そういう仕事を引き継ぐ若者を育てておかなくてはならない。
大隅教授の「基金」の話を聞いて、強くそう思った。
「お前ら!ぼんやりしてる暇はねえぞ!そのテーマの基本は何だ!
 答えなど急ぐな。基礎をわかろうとする姿勢から目をそらすな!」
わけもわからない時期の中2にも厳しく怒鳴りつけてみた。
知識は今までよりもずっと、静かに、深く入っていくのが見て取れた。

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