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山間の村 ②

キンタマーニの雄大な景色を堪能した後、車は別の道を下って行った。
しばらく行くと基地の両サイドにずらりと車が止まったテガラランというところへ来た。
そこには有名なライステラス、田んぼの段々畑がある。
車を降りると小さな雑貨・土産物を売る店がたくさん並んでいる。
観光客は多いのに、誰も店を見ない。そりゃそうだ。「誰が買うの?」という品しかない。
道の左側が谷になっていて、谷底から向かい側斜面の上までがライステラスになっていた。
きれいな曲線であぜを作って田んぼにしてあり、見た目にはとてもきれいだが、
斜面が急すぎて一つ一つの田んぼは幅が細く、小さく、牛も機械も入らない。
田植えや稲刈りはすべて手作業で、いくら3毛作といっても、家族が1年食えるだろうか?
道から降りるとちょっとした広場になり、やはり土産物やヤシの実を売っていた。
ヤシの木もたくさんあって、たくさん実をつけている。
小学生くらいの女の子が寄ってきて、手に持った絵葉書を買ってくれという。
後ろには弟だろうか、さらに小さな男の子二人も絵葉書を持っている。
いくらだ?3000円?冗談じゃない、空港でも500円しないぜ。
私は買わなかったが、若い白人の男が「僕らは友達だからね」と交渉する。
「20ドルでいいだろ?」「30だよ」「25では?」「30でお願い・・・」
根負けしてそれで買うと、弟たちが叫んだ。
「こっちは20でいいよ、20、20、20ドルだよ!」
田んぼを見るとたくさんの観光客があぜを歩いていたが、私たちは行かなかった。
小さな小屋の「料金所」があって、「通行料」を取られるのだ。しかも3か所も。
田んぼの持ち主が3人いて、それぞれに通行料を取る。
値段はきかなかったが、たぶん100円ほどだろう。それだって地元の人は飯が食える値だ。
しかもこれだけ人が来れば、すべての米を売る値段の何十倍の売り上げになるだろう。
もう、田んぼの持ち主にとって米は、どうでもよくなっているだろう。
そうガイドに言うと、複雑な顔をした。バリ人にとって米は神聖な作物なのだ。
そこから車で昼食をとるホテルへ向かうと、中学の前を通った。
バリではすべて征服の色が決まっていて、小学生は茶色、中学生はブルーだ。
中学生の女の子がバンバンバイクを走らせている。二人乗りで笑っている子もいる。
茶色の制服の女の子がバイクを走らせていた。「アハハ、これ、小学生、アハハ」ガイドが笑った。
インドネシアでは、法律上は、16歳からバイクの免許が取れる。
堂々とバイクで高校に通い、高校の駐車場に止める。
中学生までは「無免許」なので、バイクを学校の中には乗り付けられない。
みんな隣の空き地に止めて学校へ入ってくる。先生は見ないふりをしている。
仕方がないのだ。通学バスなどないし、家は遠いし・・・、取り締まる警察もいないし。
それがインドネシアでは普通のことで、皆バイクのプロだから、事故も少ないのだろう。
昼食は「ピタ・マハ」という崖の斜面に建てたホテルのテラスで食べた。
向かいは「天使の降りる谷」と呼ばれ、下の川では観光客がラフティングに歓声を上げている。
出てきたパスタ料理が・・・うまい!薄味で、これは日本料理だよ・・・
うまいなあ、いい景色だなあなどと食べていると、「ようこそいらっしゃいました」
と、きれいな日本語で話しかけられた。ホテルのオーナーで、ケイコ・マンデラさん。
「おっしゃってる通り、自然保護の願いでこのホテルを作りました。
 でも建てる当時はいくらお金をかけても、見た目に何も変わらず、焦りましたよ」
「私は土木技師で知ってますが、そういうものですよ。基礎にほとんどの金がかかる」
「そうなんですよね、びっくりしました。うちでは働いてる人は地元の住民で、
 何も知らないから学校も作って、一から教育もしました」
もとは日本の、かなりの地位の家のお嬢さんだったようだが、舞踊家になり、
こちらで知り合った青年と結婚し、ホテルまで経営するようになったらしい。
インドネシアの発展や、それに伴う矛盾など、彼女は私を気に行ってくれたようで
大いに話は盛り上がり、ホテルのCDなどたくさんのお土産までくれた。
帰るときにガイドが目を丸くしている。
「彼女、日本人ですが、バリの王族ですよ。王族と結婚したんです。
 バリの王宮の中で何度も彼女を見た。まさかここで見るなんて・・・」
うへ~~、我々下々の者は、本当には、口もきけないような立場の人だった。
何も知らない私は気さくに話してしまって、失礼があったのではとひんやりとしてしまった。

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