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距離を知る時

高2の授業を終えたミクと、授業がなくても毎日来ているケンタが、
フリースペースに並んで居残り勉強をしている。
年末にケンタが相談に来た。
「先生、来年俺、国立大の医学部は無理でしょうか?」
「無理(キッパリ)」
「浪人しても?」
「医学部だけは特別だって。モンスターの巣窟だぞ。何浪もしているモンスターもいれば、
 毎年新人のモンスターもやって来る。普通の人間じゃあ無理だって」
高校生にはその「距離感」などわからないのだろう。
以前高2の終わりに強引に入塾してきた生徒もそうだった。進路希望を聞くと、
「今までクラブばかりで勉強してないから校内130番ですが、
 この1年勉強して、国立の医学部に行きたいです」
「バカかお前は。何もわかっていない!」
「いや、甘いのはわかっています。しかし、まだ勉強してませんから・・・」
それがわかっていないと言うのだ。
中堅校の莵道高校なら、勉強しなくて1位くらいでないと医学部など無理だ。それがわかっていない。
現に莵道から府立医科大へ行った女の子は、週に2回うちにこそ来てたが、
家でも学校でも楽しく遊び、ろくに勉強してなかったが、3位以下に落ちたことなどなかった。
他にはダイと去年のケンゴ(発表せず)が医学部へ進んでいるが、異常なほど賢かった。
誰もが到達できるレベルじゃあない。ケンタにどうわからせればいいか・・・
「模試の合計点で康太を負かしてみな。そうすればあるいは、道が開けるかもな」
ケンタの顔が一瞬明るくなった。『そりゃあ、出来るぞ』そう思ったのだろう。
冬休みはすべて、大晦日も元旦もなく、教室だけでも7時間勉強した。
しかし直後の模試で5教科500点で康太に200点も離されている。
Ⅰ類のユウスケには社会はおろか、数学も負かされた・・・・ショック!!
3学期が始まっても猛勉強は続く。
クラブがなければ4時半に、クラブがあっても7時にはやって来て、12時まで勉強する。
毎日、毎日・・・・・
12時半に帰って来るケンタに、少し酔っていた父ちゃんが怒った。
「まだ高2なのに、毎晩遅すぎだ!病気になるわ!もっと早く帰ってこい!!」
「・・・俺は、勉強してるんだ!何もわからないくせに、何を言うんだ!」
けんかが始まった。母が間に入る。
「ねえあんた。遅いと言っても教室にいるんだし、勉強してるんだし・・」
ケンタは焦っているのだ。いくら勉強しても康太との距離は広がるように感じるから。
いいや、広がってはいない。すでにそれだけの距離になってしまっていたのだ。
自分が勉強してないと、その距離が「見えない」だけなのだ。
勉強してみるほどにその距離がクリアに見えて来る。嫌になるほどに・・・・

ミクと並んで勉強するケンタに話しかけた。
「良くやってるな」
「まだダメです。やらねばならないことが多過ぎて・・こなせていません。
 こんなに勉強しなくてはならないなんて・・・見えていませんでした。
 それを康太の奴はゲームでもやるかのように、楽しんでこなしているし・・・」
「まあな。俺から見ても康太はよく勉強してるよ。やる時の集中力がすごい。
 けれどお前の勉強量もすごいよ。すぐにその差が埋まるもんじゃあない。
 身体に注意して、頑張って勉強を続けるしかない。そうすれば差は埋まるさ」
「はい」

そうやって「懸命さ」を学び取ってゆくがいい。すでにケンタのレベルは高いのだから。

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