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面影 ③ 健康に

聞いた範囲では京都にいる奴のほうが少なかった。
男は仕事で日本中に散らばるし、女は嫁の行く先がどこになるかはわからない。
奈良、三重あたりだと近いほうだ。よく出かけてくれたもんだ。
3割近くが来たわけだけど、残りの7割はどうしているのだろう?
すでに亡くなった人は知っているが、さすがにまだ少ない。
会いたい奴などいないのかな?私も中学の同窓会にはいかないもんね。
仕事の都合かな?生活に追われていると同窓会どころじゃないかもしれない。
ひょっとして、病気で出てこれないのかな?
高校時代好きだった男がそろり、そろりと歩いている。動作がおかしい・・・
口数は多くないが20年ほど前にお隣の市役所に途中採用されて、
「俺はぺーぺー、上司の不始末なんて知ったこっちゃないね」
なんて、しゃべるとはきはきした奴だった。それがゆっくりと食べ、酒は飲まない。
ゆっくりと名刺を出してくれた。副市長になっている。すごい出世だ。
「2年前に職場で気を失って倒れたんだ。脳腫瘍が見つかって、緊急手術。
 予兆?全然なかった。その日も普通に車で出勤してたしな。突然だった。
 今も抗癌剤治療をするから酒は飲めないんだ。食うのは何でもいいんだけどな」
真子が癌になったこともあってか身につまされ、泣きそうになった。
「大事にしろよ。みんなを見てみろよ、老け込むには早いぜ。
 よく出てきてくれたな・・・大事にしろよ・・・」
奴は・・・にっこりとほほ笑んでくれた。
ほかの連中はのんきで元気なものだった。
女子なんてたいてい孫の相手をしているのに、少しも老け込んでいない。
京田辺市にいるというノグチが言ってきた。
「河原君、高2の同窓会を10月にやるからね、出ておいでよ」
おう!やってくれ。まだしばらくはのんきで元気にやっていようぜ。同窓会、やろう!
普段は忘れている42年前に戻れた、いい同窓会だった。みんな、ありがとう。

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