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決戦の日

試験前日だというのにアオトモは朝7時過ぎにやってきた。
おやおや緊張してるのかな?もう、やることもないだろうに。そのまま理科教室にこもった。
ヤマトモはお昼からやって来て、フリースペースの定位置にデンとかまえる。
こちらももうやることは残ってないはずだが、いつものペースでないと落ち着かないのだろう。
この半年ほどはどちらも私が帰る10時前にはまだ勉強していたが、
昨日はさすがに7時頃そろって帰り支度をした。授業をしていた私は熱いものがこみ上げ、大声を出した。
「お前ら・・・頑張れよ!」 「はい!頑張ります」
「試験は2日間か?」 「いえ、明日で終わります」
「そうか・・・頑張れよ! 「ありがとうございます、頑張ってきま~す」
明るい声で元気に応えてくれた。私は・・・すんでのところで大声で泣き出しそうになった。
中3のこともあったから、感傷的で気弱になっていたのかもしれない。
二人のこの3年間が一瞬で、走馬灯のように流れたのだ。
どちらも高1からやって来て、数学の扱いなど何も知らず、鈍臭かった。
「いいか、ここの構造はこういうことで、だからこう扱わないといけないんだ」
一つ一つを身体にすり込むように教えて行った。二人ともサークルやクラブが忙しい。
「それも精一杯やれ。けど、それだけじゃあいけない。勉強の時間は自分で見つけるんだ」
二人とも忠実にそれを実行しようとした。
ヤマトモは日曜にテニスの試合がはいるが、試合の前やあとにジャージのままやって来て勉強したり。
大学総長は入学式で「専門バカにはならないでください」といった。
私もそう思う。スポーツという、それだけの専門バカでもいけない。
数学も授業だけ聞いて「ハイ終わり」では意味がない。
その奥に隠されたものを見つける時間を、日々の生活の中でどう見つけるのか。
器用なら15分で済むのかもしれない。不器用で1時間では済まないのかもしれない。
それを自分で判断し、段取りを決めて行く。それが「学ぶ」ということだ。
授業に出て、公式や単語を覚えるのが学びではない。
点取り自慢、合格自慢などクソくらえだ!ここは学びの場だ!両トモヤはそれをよく理解してくれた。
鈍臭い自分にうんざりしたろうが、少しでも時間を見つけて諦めずに勉強した。
クラブを終えてからは教室名物の「座敷童子」だ。
これだけの努力と工夫を、人は「元からできた子」という。簡単に言うな!と思う。
ずいぶん逞しくなった。もうそれだけで「ありがとう」と言いたい気持だった。
それと同時に「もっともっとしてやれることがあったのでは」と、申し訳ない気持ちもわき上がる。
「ありがとうございます。行ってきます!」
その笑顔に泣きだしそうになったのは、そういうことだ。
家に帰るとそれまで「もうやることない。早く始まれ~」と言っていた真子もそわそわしている。
教科の穴がないか不安になったり、点数の皮算用をして恐くなったり。
「去年に比べたら比較にならないくらいに元気になったじゃないか。
 やれるだけのことはやった。これでもダメならもう、仕方ないだろ?」
朝早く起きてきた真子は「もうスッキリした。焦りはない。頑張るだけ」
両トモヤは神戸大と大阪市立大へ出かけて行った。
真子は2日間で、今日は国語と数学。今頃はじっくり文章を読んでいるだろう。

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