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人生の楽園 ③

私立高校入試が終了した。明日・明後日には早くも結果が出る。
すでに経験済みの高1・高2のクラスで聞いてみた。
「高校入試と大学入試で、英語はどう違うか、わかるか?」 よくわからないらしい。
どちらにも「下線部の英文を日本語に訳せ」という設問がある。
極めて大ざっぱにわかりやすく言えば、高校入試では下線部だけ読んで訳せるが、
大学入試ではそれが出来なくなるのだ。なぜだろう?
これもわかりやすく言えば、中学までは一つの単語には一つの意味しかないからだ。
クールといえば「冷たい」としか訳さないから「クールな発言」は「冷たい発言」だけでいい。
しかし大学入試ではそれだけでは意味が通らなくなる。「冷ややかな発言」かもしれない。
「冷たい」と「冷ややか」ではその意味、ニュアンスがまるで違ってくる。
どう訳すかを決定するのは、下線部以外の全体の文章が何を言っているかだ。
高校入試では「単語」を読めばいいが、大学入試では「文章」を読まなくてはならない。
明確に違うし、日本語の語彙力もないと訳せなくなるのだが、理解している高校生は少ない。
中学では「国語は2だけど、英語は5だ」という子がいるけど、それは単語力を見ているからだ。
それは仕方がない。そこから始めるのだから。ただ、それを「語学力」と勘違いしないことだ。
高校からは「文章としての英語」を読まなくてはならなくなるから、高校で英語がまるでダメになる生徒は、
それを日本語に訳した文章を読ませても、その文章の意味がわからないだろう。
こういうとわかりやすいが、それと同じことが数学で起こっている事を知る人は、さらに少ない。
いくら公式を覚えても、それは英語の単語と同じことで、それだけでは数学の
たった2行の文章題の意味がわからない。何をしていいのかわからない。
公式と公式の行間、その成り立ちをよく読んでないと、日本語を読み変えることができない。
数学も同じことを、実は様々に言い変えることができる。
「これって、こういうことを聞きたいんだな?とすると、ここをこう数式にして、
 さらにここをこう整理すると・・・なんだ、教科書の基本問題だよ」
そこまでの作業を数学というのだが、計算することとほとんどの生徒は思っている。
そういうことを話して、高2には極限値の応用題をやらせた。
それまでは単語としての基礎知識ばかりをやり、「いいか、こんなもんは数学じゃないからな」
最近では2時間のうち、1時間はそんな説教ばかりのような気がする。
こんなんで数学の授業なのか、なんなのか、私自身もわからなくなることがある。
ユウイチとリュウタは莵道だが、数学の「読み方」はまだわかっていない。
アキトとケイジなんざ中学時代はまるで勉強せず。特にケイジはカッコばかりつけてて、
何度母ちゃんを泣かせたことか。ヒカルは嵯峨野の1位になったが、最近宿題をなめてるなあ・・・
やらせた問題は、それまで数字で「型」を確認していたのを文字にしてある。
自分で分類しなくてはならない。そこに数Ⅱの復習もからませたから、
かなり深くまで数学を読まないと何をすればいいのかもわからない。
ヒカルがつまづいて計算ミスばかりをし、あるところでピタリと止まってしまった。
確実に読み、考え、ユウイチ・リュウタ・アキトが追いついてきた。
しかし・・・鮮やか気読み解き、確実に解答し、駆け抜けたのはケイジだった。
高校から勉強しようとしているのは知っていた。どうせまた、カッコばかりじゃないの?
紆余曲折で上達はしなかったが、最近、黒板に書く解答が「自分の意見」
になって来ていることに気付いた。それが初めて本格化した。
「お前みたいなバカが、生涯そんな解答をかけるとは、思ってなかったぞ・・・」
春風が頬をかすめた気がした・・・なに、これ1度きりかもしれない。けれど1度はそう出来た。
その解答は少なくとも「学びのフォーム」がケイジの中に形作られたことを示していた。
私は・・・高校までの教師はそのフォームを生徒の中に創ることができれば、
教師の役割としては十分だと思っている。
どこまでその子が登るかは関係がない。登れるようになるのだから。
ケイジは嬉しそうに照れ笑いをしながら、いつもより大きな声で「ありがとうございました」
と言って帰って行った。そこは・・・まぎれもなく楽園だった。

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