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鍛えの時期

天皇の料理番トクゾウは他の店にも下働きに出て、シェフの話を聞いている時、
かぶっていたコック帽がずり落ちて目を覆ってしまう。細かな演出だ。
生活の腰が落ち着かずに無理やり養子に出され女房を持ち、子供まで出来たが、
このときのトクゾウは17歳前後のはず。昨日の高2の連中と同い年だ。
朝早くから夜遅くまで皿や鍋を洗い、掃除をし、寝る部屋は3人の相部屋で、もらえる給料は小遣い銭程度。
そんな生活は10代から、せいぜい20代前半までしか出来ない。
私も大学を出て現場監督になった時は3人の相部屋で、先輩のいびきと歯ぎしりに悩ませられた。
現場へ出ても監督の仕事が出来るはずもなく、スコップを持った一労働者だった。
「何なんだこれは?」と思うこともあったが、若くて体力はあるし、「そんなものか」と平気でもあった。
まだ世の中というものをよく知らないから普通に出来るし、下働きをするとその仕事がよくわかる。
若いうちにしか出来ないこと、それがどれほど大切かを昔の人は経験でよく知っていた。
それは現場の仕事だけでなく、勉強でも同じことが言えそうだ。
岡潔さんはすぐ忘れてしまう一夜づけの「単純暗記力」も大切な能力だという。
小さな子供は理解も出来ない文章でも暗記できるし、行ったこともない外国の国旗を
100ほども暗記したりする。
「その能力も学びには大切なものだが、中3の頃にピークを迎え、
 その後は鍛えようと思ってもなかなかうまくいかないものだ。
 しかしそれを言うと“もう遅いのか”という人がたくさんいるので、あまり言わないようにしている」
「人の知識、能力は、バケツに水をためるようにたまるものだと今の教育は教えるが、そうではない。
 同時にどんどん流れ出てもいる。若いうちに能力を高めておかないと、すぐになくなってしまう」
30年も子供と一緒に勉強して来て、思い当たる節がいくつもある。
集中して話を聞き、考えながら考えながらノートにもとる。
私が理論を説明するときの生徒はいつもそうだが、これって実は、相当な鍛えがいる。
小・中学生くらいのうちに「そういうものだ」と叩き込まないと、もう身にはつかない。
今の教育はその時期に「叩き込めなく」なってしまったから、どう?大学の授業風景は?
ほとんどの大学生は教授の説明も聞かずにおしゃべりしたり、携帯をいじったり・・・
もう・・直らないですよ、そういう態度は。世の中へ出てうまくいくとはとうてい思えない。
算数や数学などの教科は学びの姿勢を作るという側面が多分にある。
そこでしか身につかないものなら、なんとしてもその時期に鍛えておくしかない。
そう思うともう「その時だけ楽しい授業」などやる気にならない。
「復習もしとらんのか。金を出す親に申し訳ないと思わんのか!どアホウ!」
そうやっていじめるほどに鍛えていくと、どこかで教科の本当の面白さも理解でき、
いつの間にか学びの姿勢も形作られて行く。うちの生徒が優秀になるのはそこが鍛えられるからだ。
もう残り少ない教師人生、そういうことだけをやって子供を鍛えようと思っている。
点数など益々二の次になっている。
怒鳴られるのが嫌な人や、点数だけがほしい人は、どうか来ないでもらいたい。

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