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うどんのプロフェッショナル ②

年末に親方は連日1000玉のうどんを打つ。香川では年越しにうどんを食べるのだ。
うどん生地は前日夜に仕込んでおく。温度や気温を考えて水・かん水の量を加減する。
しかし気温や湿度は思うようには行かない。微妙に生地が「ずれて」いることもある。
そこからはうどん職人の腕だ。生地の打ち方で調整する。打つ回数や伸ばし方で調整するのだろうか?
そしてさらに「ゆで方」だ。親方は時間など計らない。湯の中で泳ぐうどんを見て決定する。
どんなに素晴らしい教材を作っても、それだけでよい授業が出来るわけではない。
生徒の表情や反応を見ながら展開のタイミングを計らねばならない。
最終的に授業を終えるまでに何を創り上げておくのか、意識しておかなければいい授業は出来ない。
客でにぎわう店の中で面を打ちながら親方は、客のさばき方や天ぷらの揚げ方を指示する。
「あそこのお客さん、もう20分も待たせてるじゃないか!」
同時に、あれだけ多くの仕事をこなせるのがすごいが、すべて頭の中で計算できているのだろう。
親方のうどんはゆでているうちに角(エッジ)が立ってきて、得も言われぬ食感になるという。
しかしそれだけではダメだ。
出汁の温度、具材の出来あがるタイミング・・・すべてが合わないと「客に出せない」のだ。
私は親方ほどの仕事をしている自信はないが、少なくとも想いは同じだ。
いい授業にしたい。きちんと生徒を育てないと、とても金など取れない・・・
なぜ、教育現場にはその意識がないのだろう?
「それで教育なのか?金を取るのか?」 そういう塾ばかりだ。
1000玉の仕事を終えて、親方は奥の控室に入る。きりりとした顔が初めて、疲れた顔になる。
「さすがに・・・肩がパンパン・・・」
大柄で、目を細めた様子は、まるで「元力士」だ。親方は子供の頃から大柄だったらしい。
しかしそれに似合わず小心者で、人と接して話をするのも苦手だった。
勉強も得意ではなく、入学してすぐに高校も中退してしまった。まだ15歳。
目標もなく家でじっとしている息子を見かねて、父親がうどんを食べに連れて行った。
そのうどんのうまさに感動したらしい。うどんの「師匠」との出会いだ。
こんな落ちこぼれの15歳が、どのようにして今の姿になったのだろう?

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