FC2ブログ

隙間 ③

発明や発見には「期間の隙間」が必要だと岡さんが言う。
例えば中学や高校の試験で解けた問題を何度も見返し、「よし、ミスはない!」と確認する。
試験を終えてホッとし、教室を出た瞬間、「しまった!あれを間違えた!」と気づく。
そういう経験は私にも、誰にでもあると思うが、あれほど考えても発見できなかったミスが、
なぜホッとしたときに、もう考えてもいないのに、急に思いつくのだろうか?
岡さんの数学上の発見のほとんどは、同じようにして発見されたらしい。
一つの問題を解こうと何ヶ月も、何年も考え続ける。
しかしその時は自分の内面を発酵させている時期で、必要な時期だが、そこでは発見できない。
疲れ果てて何も出来なくなり、脳はほとんど眠ったようになる。内面の温度が下がる。
内面を弛緩させたそういうときに、電車の窓から景色を眺めていたり、
散髪屋で耳掃除をしてもらっているときなど、何気ない瞬間に一気に発見できたという。
私には大発見の経験はないが、子供の成長が同じようだとは知っている。
一つのことを生徒に理解させようとするとき、私はあらゆる手段をとる。
褒めたりけなしたり、おだてたりツキ落としたり、怒鳴りつけたり・・・・
私も生徒も脳内温度はものすごく上昇していると思うが、そういう時には生徒の理解は進まない。
「もう・・・どうにもならない」
諦めて次のところへ進み、のんびりさせているとふと、生徒の理解が進んでいることに気づく。
長くやった経験から、ほとんどの成長がそういうものだということを私は知った。
温度を上げて緊張させ、どんどん発酵させる時期と、クールダウンさせる時期の両方が必要だ。
しかし超進学校や進学塾にはクールダウンの時期がない。
それだと表面的な点数はいくらか整っても、本当の理解・発見には至らない。
30年前の私はここまで語ることは出来なかったが、何となく感じてはいて、
一つの教科は週に1回、しかしどこよりも長く2時間と設定した。
2時間の間は極限近くまで考えさせ、緊張させる。その分、あっという間の「電撃の2時間」だ。
後の1週間はのんびりさせる。宿題は極めて少ない。
やってこない生徒も多いが、たいていの場合は何も言わず授業に入る。
3年という「その時期には」伸ばしきれない生徒もいるにはいるが、
まともな優秀さで伸びていく生徒の割合は、どの塾もうちには勝てない。
それは当然だ。塾がやっているのは「点の取り方」であって、教育ではないもの。
「点の取り方」は「教育」には勝てない。
スマホなどの普及で電車に乗ると、全員が指を動かしている。のんびりする隙間はない。
そんな時代だから私には、思想を同じくする「塾仲間」など、一人もいない。
仲間と言えば通ってくれた生徒と、その親だけだ。
それでなぜ私が生き残ってこれたかはいまだにわからないけれど、今さらもう変えられもしないし、
この教育を最後まで続けることにする。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: 隙間を埋めて行く

> 毎日、小さな頃から勉強には隙間だらけで育った生徒達。数学なんかわからんし、やる意味ないし。と見向きもしない生徒を前に、毎日、なんとなく隙間を埋めてつないでいく授業をしてます。
> 内容は中学レベルかもしれません。私は何をしてるんだろう?
>
> もうすぐ1年がたちます。絶対渡れないと見向きもしなかった川に飛び石を作って行くと、少しずつ、あっちはどうなってる?渡れる?渡れた‼️次の橋は?と進み始めた生徒達。
> センター試験は遠いけれど、隙間をなんとかつないでいくと、生徒は生き生きしてきました。
> 数学、わかるで。こう言ってくれる生徒が少しずつ増えてくるたびに、もう少し頑張ろうと思います‼️

お前の言葉には胸を打たれるし、その努力には涙こぼれる思いがする。
数学も知らないよりは知ってる方が、魚を捕るのも、野菜や米を作るのも上手なもんだ。
なんとかわからせてやりたい・・・
飛び石を持って行ったか。その工夫をするのが教師であり、その行為こそが教育だ。
思い悩むことばかりだが、それこそが教師の仕事であり、その向こうに必ず楽しみもある。
割に合わないほどのわずかな楽しみだけど、それだけで教師を続けられる。
お前の思い、考え、やろうとすることは、すべて私そのものと同じだ。
頑張ってくれ。
プロフィール

河原

Author:河原
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR