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成熟はゆっくり

過去問の難しい問題を、中3の連中が黒板に解いていく。
思っていたより細かなところまで気がついて、解き進めていく。
どうしても気づきにくいところだけ、少し構造をアドバイスすると、きれいに解いてしまう。
ややこしい問題以外は一気に解いて、ほとんど間違いもない。
そして、せっかく書いた解答だが、すぐに黒板吹きで消されてしまう。記録には残らない。
記憶にしか残らないのだが、岡さんが言う「情操を育てる」に近いのかもしれない。
普段でもそういう授業だから育てるのに時間がかかるのだが、子供の成長自体が時間のかかることだ。
精神的に少し成熟しないと、どうしても入りにくい知識もある。成熟をじっと待つこともある。
子供の成長・成熟なんてそういうものだということは現場の教師なら誰でも知っているのに、
どうして大学入試変更答申に、誰も声を上げないのだろう?あれは18歳を「立派に成熟した大人」と見ている。
違う。成熟の入り口に立ったに過ぎない。知識量を見ても、理系の大学だとはっきりわかる。
高校時代の数学や物理などほんの基礎にすぎず、未体験の世界が無限に広がっていく。
その世界を進んでいくのに必要なものは、中途半端な知識の量の多さではなく、
討論力の強さでもなく、プレゼンのうまさでもない。
一つ一つの知識の成り立ちの確かさと、心構えが必要なだけだ。それが岡さんの言う「情操」かもしれない。
そういうものは「入試対策」などで育つものではない。
たゆまなく、しかしゆっくりとした働きかけと、何らかの営みの中で育って行く。
酒の成分を知っているから、何度もボランティアに行ったからと、育つものではない。
康太は昨日大学の最後の授業を終えたが、帰って来るのは遅かった。
大学の図書館でその教科のまとめをしていたらしい。
たくさんの学生で埋まる図書館なのに、ほとんど物音もせず、皆が学んでいる。
康太はその雰囲気が好きで、そこでずいぶん勉強するようだ。
教科の内容は難しくなっているのに、理解すること、自分の世界が広がることが楽しくて仕方ないようだ。
高校まではまだ訳がわからなかったから、大学で学ぶ楽しさに初めて気づいた。
周りから見ればおそらくモンスターのような学生になっているのだろうが、
康太に自覚はなく、評価も気にせず、ただ学びを楽しんでいるだけだ。
そして週に2回はボクシングジムでサンドバッグを叩いたりスパーリングしたりし、
しょっちゅう友人に呼び出されては酒も飲みに行く。まったく無理なく成熟を進めている。
康太には点取り対策も入試対策も、一度もしてやったことはない。

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