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春一つ

ずいぶん冷え込んで来た金曜の夕方、顔をこわばらせたミオが教室にかけ込んで来た。
「先生!」 手に持った一枚の紙を私に突き出す。「府立医科大看護科合格証書」・・・
でかした!よくやった、おめでとう!・・・やれやれ・・・・最近は喜びより安堵感が大きい。
合格証書は大学まで行ってもらって来たのかな?いや、たぶん高校へ送られて来たのだろう。
放課後に職員室に呼び出され、手渡されたのだと思う。
喜び・驚き・安堵感・・・すべてが入り混じってミオの顔をこわばらせたのだ。
国立大の推薦入試は一定の評定平均があれば、後は論文と面接。
しかし成績表の数字は学校の格差があり目安で、論文と面接が主だと思う。
だからと言って論文と面接の練習ばかりをしても、なかなか合格はしない。
ミオの家は二尾の山の中。そこから自転車で高校へ通い、バレー部も頑張り、
週に2回うちの教室にもやって来て数学の奥深くまで入って行った。
器用な子ではない。中学時代に勉強で目立つ子でもなかったという。
ただ、じっと「本当のもの」に目を向け、考え続けることのできる子だった。
そういう子は当然、数学の真の力も身につけていった。
そういう生活のすべてが論文や面接に出るものなんだ。
見かけだけの成績や公式の数学しか知らない子の言うことって、はっきりと幼稚ですよ。
2倍ほどの競争率だけど、本入試で合格できるくらいの力がないとなかなか合格できない。
そこまでしたって落とされることもある。今回も莵道のもう一人の子は落とされてしまった。
4年前にユキも落とされて、悔しい思いをしたもんなあ。4年ぶりの雪辱だ。
これでミオは教室も卒業し、冬を飛び越えて春。春爛漫。
推薦で合格すると、早く終わるのが何よりありがたいね。私も一人分の肩の荷が下りた。
後の子達はあと2ヶ月半、たっぷりと仕上げなくてはならない。
けれどミオがもたらしてくれた一つの春は、確かに心を温めてくれる。

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おめでとうございます。

未来の看護師(もしかしたら保健師か助産師かもしれないですが。)の仲間が増えるのは私も嬉しいことです。

Re: タイトルなし

ユキと「紙一重の何か」の違いで合格できたんだろう。
後輩もなかなかにやるもんだな。
ひょっとしたら本試験でもう一人行くかもしれないよ。
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河原

Author:河原
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