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教科に語らせる

時速100キロで走る車は速いが、こちらも時速100キロで動けば止まって見える。
「こちらが動けば、光もまた、少しは遅く見えるのかな?」
マイケルソン・モーリーはそう考えて光の速さを知る実験をし、それが高校生の教材になっている。
高2物理はいいペースで進んで来たので、康太は光波の最後にその難問一題だけをやらせた。
光の干渉を調べる実験だが、それ自体が「なぜそうするのか」の理解が難しく、
近似値を使う計算も高2のもてる数学知識を総動員しなくてはならない。
慎重に演算とその理解を進めるうちに康太は、なぜその実験が失敗に終わったのか、
その後アインシュタインが相対性理論で証明する様を語って聞かせた。
そういう授業は楽しいに決まっている。今はまだ理解出来なくとも、その授業は強烈に思い出されるだろう。
数学や物理など自然科学は何が面白いって、ある謎に人間が立ち向かう様が最高に面白い。
例えば紀元前のエジプト人は2次曲線とX軸が囲う面積を「ほぼ」知っていた。
しかし計測に使った図形が3角形だったため、わずかな「誤差」の処理が出来なかった。
3角形は「最初の多角形」であり「神聖な図形」だったため、そこから離れることが出来なかったのだ。
2000年後のニュートンにとっては3角形は神聖でも何でもない。
「面積は長方形に決まってるやろ」と、細長い長方形を並べ、その幅を限りなく細くすることで
その誤差をなくしてしまった。私が積分の導入に必ずする話だ。康太もその話ははっきり覚えていて、
「数学、物理が“楽しいですよ~”と、いくら叫んでもしょうがない。
 具体的にそういう面白い話を聞かせ、“取り組み方の方向”を見せてやった方がいい」
それが「教科に語らせる」と言うことだ。
答えが出るから、計算が出来るから面白いのではない。まだほとんどのものはわかっていないのだから。
わからないこと、まだ答えの出ないことにどう立ち向かうのか?本当の面白さはそれだ。
もちろん中学・高校生はそのためにも基礎事項をたくさん覚え、練習しなくてはならないが、
「教科に語らせる」ことは、所々に導入することを忘れてはならない。
長くやっているとつい、忘れることもあるのだが、楽しそうに語る康太に、思い出させてもらった。

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