FC2ブログ

少しずつ育つ

真子は学校の体育で卓球をやっている。中学までやっていたから他の生徒とはけた違いだ。
だから体育教師から「真子、他の子に教えてやれ」と言われるのだが、真子はうんざりする。
「羽根つきみたいに打つんじゃなく、こうやって横から、押さえて打つと実演もするけど、
 何度やらせてもみんなでけへんねん。あんな簡単なこと、なんででけへんねん」
ふふふ、真子は指導者には向いていないのかもね。指導するって、そういうもんだ。
中1のクラスではさかんに座標をやっているが、この年齢では文字を使った抽象概念は納得しづらい。
(Xが4のとき、Yは2) と 座標の(4,2)が同じものだということも、すぐには納得できない。
ものすごく大量の座標プリントを用意し、何度も座標を書かせ、なるべく目で見させるようにする。
それでもすぐには納得しないが、子供ってお絵かきなんか好きだから、ずいぶん楽しそうだ。
だまし・だまし進めていって、抽象概念が本当に理解出来始めるのは中2の今の時期だ。
精神年齢が少し上がるというか、中2の頃に子供が少し変わるのは、教師なら誰でも知っている。
いつまでもガキのままでいる中2には、真子じゃあないけれど、私もブチ切れてやる。
「おのれらわかっているのか?何のためにこういう勉強をするんだ?
 点を取るためでも、どっかの高校へ行くためでもねえ!その後があるんだ。
 少しでもものがわかるようになって、世の中で生き抜くために勉強するんだ。
 わかってんのか、こらあ。今のままじゃあ仕事も出来ないし、生きてもいけないんだ。
 それじゃあ困るんだよ!こらあ、いい加減目を覚まして、真剣にわかろうとせんかい!」
散々ぶん殴って来たノリユキの言動が明らかに変わって来た。
感覚でものを言うのではなく、理論を整理して説明できるようになってきた。
ぼんやりとして計算もろくに出来なかったフウの顔つきも、去年とはまるで違う。
無意識にガキのままでいたくて、どこか反発していたヨシヤも脱皮しつつある。
カンナなどはすっかり青年期へと移り、何でも納得して理解出来るようになってきた。
そんな様子を見てアリサやアユも、「このままじゃあ、ダメなのかな?」と思い始めている。
2年近くもかかって、ようやく抽象概念を理解し始めたのだ。
けれどそれは卓球なら、「ま、フォアは打てるようになったかな?」と言う程度だ。
これから中学卒業までにやれるようにならないといけないことは山ほどある。
指導するとは、育てるとは、そういうことだ。まったく私を休ませてはくれない。
教育とはそういうものだから、それは仕方ないけれど。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

河原

Author:河原
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR