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卓球との関わり ④ 指導する

1年も経てば、私に見えてくるのは絶望ばかりだった。
偽分が見ていたあこがれは妄想に過ぎず、自分は特別な誰かでもなく、
何の才能もない小さな男なのだということを思い知らされるばかりで、方向性も見失っていた。
そんな頃に私立女子高のコーチの話が私に舞い込んできた。
少しは強くなっていたとはいえ、素人に毛の生えた程度の私に、どうして?
その高校へ行ってみて理由はわかった。練習は週3回、30分ずつ。
超お譲ちゃん学校で、たくさんのクラブはあるが、どれもが都内で1度も勝ったことがない。
「熱心になり過ぎると、勉強がおろそかになる」という学校の方針らしかった。
才能のある先輩や同輩はインターハイを狙う高校へ練習相手に行くことはあっても、
ど素人相手に練習することはない。弱いボールを受けると感覚が狂うからだ。
また、優秀な選手ほど説明の出来ない、長島監督のような人も多い。
「ビューンと来るボールを、バン!と打つんだ」 どう打てばいいのだろう?
「サーブをもっと切れ(回転をかける)」 どうやったら切れるんだろう?
出来る選手は、なぜそれが出来ているかなど、あまり考えない。
私のように出来ない選手の方がより研究はする。
どうしてあのようなボールが打てるのだろう?腕の位置は?肘の角度は?
腰の回転が違うのだろうか?膝の使い方は?足はどうさばく?
「理論派」と人に笑われるくらいに研究はした。練習も繰り返した。
けれど私には一流選手がやっている事の真似は出来なかった。才能はなかった。
なるほど・・・お譲ちゃん学校くらいが私には「お似合い」だったわけだ。
私はコーチを引き受けることにした。週3回、30分ずつの練習で何をするのかを問いたかった。
才能はない。あくせくするばかりで金も時間も、道具もろくなものがない。
その高校の「卓球環境」は言わばそういうものだったが、それは私の人生そのものであり、慣れていた。
しかしその中でも「なぜ卓球をするのか、どうやるのか、どれくらいやるのか」を問うことはできる。
お譲ちゃんの遊び相手をする気はなかった。
私と同じでとうてい一流選手になどなれないが、長く卓球を続けられる基礎を作ろう。
目先の得点を狙う「小手先の技術」など教えない。
その子の性格、身体的特徴を捉え、「その延長線上にはチャンピオンがある」ものだけ教えた。
・・・教えたというより、共に考え、共に求めたという方が正しい。
俺には出来ない。たぶん君にも出来ないだろう。けれど、チャンピオンがやっているのはこれだ。
どうやれば少しでも出来るようになるのだろう?
私は妄想の中にしかいなかったが、この子達にはその距離がわかるような指導をしよう。
卓球でも数学でも、その指導方針はいまだに変わってはいない。

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